2005-01-01から1年間の記事一覧

夏の木漏れ日の中で

ここ数日の寒さが少し和らいだかなという今日ですが、それでも寒い一日。弱々しいまでにやわらかい日差しをみながら、思い出したきのこの写真が、これ。 ダイダイガサ[Cyptotrama asprata]。南方系のきのこで、写真は2005年7月14日、秩父での撮影で…

耳たち

『影たち』という小説があります。ジンバブエの作家チェンジェライ・ホーヴェの作品。日本語訳はスリーエーネットワークから。 ベラスケスの有名な作品ラス・メニーナスは日本語では『侍女たち』。プラドの一室に場を占めていて、今年の2月、久しぶりに見て…

古酒さまざま

「石さまざま」はシュティフターでしたでしょうか。『水晶』『御影石』など、小品を集めたもの。 日本酒の古酒といえば、金沢は福光屋の『百登勢』10年ものと20年ものがよく知られています。おなじ福光屋の『黒帯』も3年熟成ものがあったはず。 ふと通…

老いたる者をして・・・

老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ そは彼等こころゆくまで悔いんためなり 吾は悔いんことを欲す こころゆくまで悔ゆるは洵に魂を休むればなり 中原中也の、『在りし日の歌』から、「空しき秋」第十二、「老いたる者をして」の冒頭です。 写真のきのこは…

アカモミタケ

アカモミタケ[Lactarius laeticolor]。秋、モミの木は「命の木」といった観を呈します。アカモミタケにキハツダケ、モミタケ、ウスタケ、ニガイグチ、チチタケの仲間などが次々と顔を出すのです。 昨年11月末に一度紹介しましたが、改めて、アカモミタケ…

クサウラベニタケ

毒きのこの続きです。さきごろ紹介したイッポンシメジに近いクサウラベニタケ[Rhodophyllus rhodopolius]。秩父では「ニタリ」と言います。 関東周辺の里山では、梅雨時から秋遅くまで長期にわたりみることができるきのこで、毒。 写真は6月末、奥多摩に…

キノコをマラリア対策に!

マラリア。クロロキンとかネフロキンとか、はっきりは覚えていないけれど、予防は地域の蚊が運ぶマラリア原虫の耐性に応じて選ばなくてはならなくて、しかも体への負担が高い。 結局は、「蚊に刺されないこと」が一番の予防、と言われているらしいのですが・…

イッポンシメジ

日本のきのこには、「標準和名」というのがあります。 明治期の学校で、沖縄や東北で「標準語」を押しつけるために、地元の言葉で話したら懲罰の札を持たされて立たされた、というおぞましい話もあって、「標準」という言葉にいかがわしさを感じてきました。…

ナラタケ

ナラタケ[Armillariella mellea]。切り株などに大量に生える、味の濃いきのこです。ただし、生で食べると毒。料理しても、消化に悪いので食べ過ぎないようご注意下さい。 人気があるせいか、いろいろな名前がついています。北海道の広い範囲では、「ボリボ…

悲しいこと二つ

きのことは全く無関係ですが、悲しいこと二つをご紹介します。 一つは偶然道を歩いていて見つけた、里親を捜している犬のお話。放射能とイラクのきのことの関係について書いて以来、少し関心を強く持ち始めたイラクの状況について。 里親を捜している犬は小…

ハタケシメジ

以前紹介したホンシメジは、ホンシメジをモチーフにした和菓子でした。 今日のきのこ、ハタケシメジ[Lyophyllum decastes]は、和菓子ではなく山で(というか山道の脇で)見つけたきのこ。 以前、クサウラベニタケとともに、ちょっとだけ紹介したことがあり…

ムレオオフウセンタケ

白秋に、「謀叛」という詩があります。ずっと昔、好きでした。 ひと日、わが精舎の庭に、 晩秋の静かなる落日の中に、 あはれ、また、薄黄なる噴水の吐息のなかに、 いとほのにヴィオロンの、その糸の、 その夢の、哀愁の、いとほのにうれひ泣く 読み方に注…

毒菌の横綱もう一つ

よく見かける猛毒菌として、以前、ドクツルタケを紹介しました。今日のきのこは、それと肩を並べる猛毒きのこ。 タマゴタケモドキ[Amanita subjunquillea]。ドクツルタケもタマゴタケモドキもテングタケの仲間。ちょっと落ち着いて写真を撮る環境でなかっ…

カラカサタケ

大きなきのこ。いろいろあります。ここで紹介するカラカサタケ[Macrolepiota procera]も、大きなきのこ。高さ40センチ、傘の直径が20センチにもなることがあります。 久しぶりに、千葉は鴨川に出かけてきました。採れたきのこは、ナカグロモリノカサ、…

マンネンタケ

秋たけなわ、きのこたけなわ、のはずなのですが、体調が悪い上に忙しくて、キノコ採りに行けていません。 今日ご紹介するきのこはマンネンタケ[Ganoderma lucidum]。漢方薬局なんかに、盆栽みたいに展示されていることがあります。 写真は、10月8日、小石…

コムラサキイッポンシメジ

秋。夏のきのこ写真のストックがまだまだあるのですが、季節感を出すために、秋のきのこ。 コムラサキイッポンシメジ[Rhodophyllus violaceus]。都内の某公園で2005年10月8日に撮影したものです。 ほとんど雨の暗い日だったのですが、一瞬明るくなったので…

ホンシメジ

秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ 驚かれぬる 敏行 昨日8日は、関東で30度近くまで気温があがったそうですが、風は秋。 夏のきのこ紹介を続けてきましたが、季節感を失わないように、すこし秋のきのこを紹介します。秋たけなわの幻の名菌…

シロソウメンタケ

とても長いこと書けませんでしたが、そのあいだ、きのことりに行っていたわけでもありません。ただ、写真をためていたコンピュータが不調だっただけなのです。 イラクのきのこが放射能を吸収している可能性については、「科学者のたまご」さんが、きのこは種…

はしやすめ

イグチの仲間やテングタケの仲間のように、どちらかというと大きなきのこばかり扱っていると、「大物ねらい」に流されてしまうので、ちょっと箸休め。 もう秋だけれど、このところ忙しくてぜんぜんきのこ探しに行けないので、またもや、夏のきのこ。シラゲア…

砂漠のマッシュルーム

先日、チェルノブイリの原発事故があってから、周辺で、それまで普通に食べていたきのこにあたった例がある、と書きました。 関連する情報を調べていたら、ちょっと違った暗い情報に行き当たりました。 「砂漠のマッシュルーム、『カマ』」。写真家の森住卓…

トキイロヒラタケ

今日のきのこはイグチの仲間から離れて、トキイロヒラタケ[Pleurotus salmoneostramineus]。学名のsalmone...は、「サケのような」でしょうか。 カテゴリーは「毒」ですが、トキイロヒラタケは毒ではありません。食べられます。でも、すこし大きくなると、…

ニセアシベニイグチ

そろそろ秋ですが、夏のきのこイグチの仲間編の続きです。今日はニセアシベニイグチ[Boletus pseudocalopus]。アシベニイグチの学名が[Boletus calopus]なので、学名でも、「ニセ」と付けられた悲運の存在。 とはいえ、たくさんあります。いたる所で目に…

シロオニタケ

「泣いた赤鬼」という、とっても人間中心主義的な(まるでアメリカみたいな)お話がありました。鬼なら、別に鬼として楽しく、人間になんか近づきたくないかも知れないのに、勝手に人間が、人間に近づきたい鬼というものがたりに仕立て上げちゃう、あの、一…

ウツロイイグチ

夏のきのこの第二弾、イグチの仲間編の続きで、今日はウツロイイグチ[Xanthoconium affine]の幼菌をご紹介。とはいえ、同定はますますいい加減ですが。 小さい頃はしっかりしています。見慣れなければ、ヤマドリタケモドキとかんちがいするかも。 明日11…

ニガイグチ愚連隊

さて、はてなさんの無料フォトファイルが容量一杯になってしまい、どこにきのこの写真を置こうかと悩んでいて、アップが遅くなりました。 とりあえずは、知人が借りているサーバを間借りすることになりました。 で、今日のきのこは、ニガイグチ愚連隊。 よー…

ヤマドリタケモドキ

以前、ヤマドリタケに言及したことがありました。 フランスやカタロニア、カスティリヤでセップ、英国でセップあるいはペニーバン、ドイツでシュタインピルツ、イタリアでポルチーニと言われる超人気のきのこ。 ヤマドリタケモドキ[Boletus reticulatus]は…

キアミアシイグチ

今日のきのこは、キアミアシイグチ[Boletus ornatipes]。あまりまとまって生えているところを見たことはありませんが、ぽつぽつと見かけます。 さて、ニセダヌキ汁とニセタヌキ汁の違いは? 答え:ニセダヌキ汁は、「ニセダヌキ」の汁物ですが、ニセタヌキ…

コビチャニガイグチ?

イグチの仲間は、色々みても、形態的特徴だけではどうもわからないものが多いです。本当は顕微鏡を使っておよび/あるいは薬品をつかってテストなどしないといけないのでしょう。 で、今日のきのこは、一応コビチャニガイグチ[Tylopilus otsuensis]として…

コガネヤマドリ

今日のきのこはコガネヤマドリ[Boletus auripes]。 「青森のきのこ」(だったと思う)によると、最近、食べられることがわかったもの。よく図鑑にあるように、「派手な色のきのこは毒」という「迷信」が流布していたために、これまで食べられてこなかった…

苦くて苦くて

とっても立派なきのこ。その名をニガイグチモドキ[Tylopilus neofelleus]と言います。写真の個体は、柄の太さが5センチくらい、高さは20センチくらいでした(比率が合わない? 誤差だと思って下さい)。 立派なかたちで、肉厚で、いかにも美味しそう。 …