文芸

王義之

江戸東京博物館というところで開催中の、「北京故宮書の名宝展」に行ってきました。 そういえば、律詩や絶句、五言や七言で改行しないんですね。昔、見たことがあるのに、しばらく書を見てないと、印刷された解説本のように、改行するものだとばかり思いこん…

ほーれほれ

意味のないタイトルですが、倉橋由美子さんの最初のころの短篇中心の短編集『パルタイ』、金井美恵子さんの『噂の娘』、大西巨人の短篇『五里霧』などなどをつらつらと読みました。 『五里霧』の一つに一葉の『琴の音』からの、「秋雨しとしとと降りて物あは…

サルトル

こないだ、偶然入った小さな古本屋さんで新潮文庫版『水いらず』を発見。250円だったので買って久しぶりに読んでいます。 でも『水いらず』って、原題は「intimite」なんですよね。ちょっと今の語感だと『水いらず』というのはあわないような感じ。 本日…

オルハン・パムク

先日、本屋さんにいったら、オルハン・パムクの『イスタンブール』が出ていました。他のいくつかの作品を翻訳出版している藤原書店(社会学に強い出版社)。 まだ読んでいませんが、夏、少し読む時間が取れるといいのですが。 久しぶりに昨日の夕方は、新本…

赤いきのこ

赤いきのこ。色々ありますが、毎年りちぎに姿を現すのがベニタケの仲間。 傘が妙に濡れているのですが、「かぶとむしのような臭い」から、ニオイコベニタケ[Russula mariae]かなあ・・・という感じのものです。 2006年7月、埼玉県川越市での撮影。 夏…

落葉松

白秋がうたった「落葉松」。 さて、どこにあったろうと探してみて、「おもひで」でもなく、いろいろひっくり返して、ようやくありました。 神西清編『北原白秋詩集』(新潮文庫)から。 もとは『水墨集』。 からまつの林を過ぎて、 からまつをしみじみと見き…

私、潜るわ。

珍しいキノコ舞踊団を主催する伊藤千枝さんの新作ソロ公演「私、潜るわ。」が三軒茶屋の「シアタートラム」で上演されます。 詳しいことは、珍しいキノコ舞踏団へ。 これは「文芸」ではありませんが、ご容赦を。 さて、今日のきのこは、チャダイゴケの仲間。…

リスボン包囲の記録

ジョゼ・サラマーゴによる『リスボン包囲の記録』という小説があります。 主人公(?)の校正者が、たとえばニーチェの「God is dead」を「God is not dead」に修正したりと、興味深い内容。 さて、本日のきのこは、オニグルミの木に生えたサルノコシカケの…

ふたご

4月だというのに、この2日は妙に寒く、まるで冬に戻ったようですが、東京都心部のトガリアミガサタケ[Morchella conica]の季節はほぼ終わりのようです。 昨年は、トガリアミガサタケとかチャアミガサタケとかアミガサタケとかあまり区別せずに紹介しまし…

椿

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」。梶井基次郎でしたでしょうか。 「椿の樹の下にはツバキキンカクチャワンタケが生えている」。ちょっと、苦しいですね。 というわけで、今日のきのこは、知る人ぞ知る、ツバキキンカクチャワンタケ[Ciborinia camelli…

Quoth the raven

ちょっときのこは一休みして、本日はカラス。鴉と書くと、なにやら謎のような賢そうな、そのカラス。 木の穴に潜む芋虫を小枝で釣り、水道の蛇口を回し、堅いクルミの殻を車を道具に割り・・・そう。 つまり賢いカラス。 ちょいと「我思う故に我有り」みたい…

梅の季節

梅・桃・桜・杏仁・梨・林檎。いずれもバラ科の植物。 英国では、暗く寒く湿った冬の終わりに杏仁の花が開きます。それから、待ちに待った、暗く寒く湿った春がやってきます。 日本で見かけるバラ科の花では、私は桃・梅が好きですが。 桃之夭夭 もものよう…

春一番が吹いた日に

春の岬 たびのをはりの鷗どり. うきつつ遠く なりにけるかも 30年以上も前、父の蔵書の一つにあった東京創元社刊の詩集『春の岬』、三好達治。戦争中はご多分にもれず戦意高揚詩なども書いていたはず、というのは、はるか昔の恋人から教わったこと。 とい…

一雨ごとに

昨日まで燃えてゐた野が 今日茫然として、曇つた空の下(もと)につづく。 一雨毎に秋になるのだ、と人は云ふ 秋蝉は、もはやかしこに鳴いてゐる、 草の中の、ひともとの木の中に。 しばらく前に蝋梅が咲いていたと思ったら、ちらほらと梅の花が見られるよう…

マメホコリ

雪、です。 うすければあおく ぎんいろに さくらもあかく さくなみに さんがつこなゆき ふりしきる ゆきかきよせて てにとれば てにとるひまに きえゆけり なにをかなしと いいうるものぞ きみがあけなる てのひらに ゆきもうすらに とけゆけりまったく記憶…

老いたる者をして・・・

老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ そは彼等こころゆくまで悔いんためなり 吾は悔いんことを欲す こころゆくまで悔ゆるは洵に魂を休むればなり 中原中也の、『在りし日の歌』から、「空しき秋」第十二、「老いたる者をして」の冒頭です。 写真のきのこは…

ムレオオフウセンタケ

白秋に、「謀叛」という詩があります。ずっと昔、好きでした。 ひと日、わが精舎の庭に、 晩秋の静かなる落日の中に、 あはれ、また、薄黄なる噴水の吐息のなかに、 いとほのにヴィオロンの、その糸の、 その夢の、哀愁の、いとほのにうれひ泣く 読み方に注…

カラカサタケ

大きなきのこ。いろいろあります。ここで紹介するカラカサタケ[Macrolepiota procera]も、大きなきのこ。高さ40センチ、傘の直径が20センチにもなることがあります。 久しぶりに、千葉は鴨川に出かけてきました。採れたきのこは、ナカグロモリノカサ、…

ホンシメジ

秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ 驚かれぬる 敏行 昨日8日は、関東で30度近くまで気温があがったそうですが、風は秋。 夏のきのこ紹介を続けてきましたが、季節感を失わないように、すこし秋のきのこを紹介します。秋たけなわの幻の名菌…

シロオニタケ

「泣いた赤鬼」という、とっても人間中心主義的な(まるでアメリカみたいな)お話がありました。鬼なら、別に鬼として楽しく、人間になんか近づきたくないかも知れないのに、勝手に人間が、人間に近づきたい鬼というものがたりに仕立て上げちゃう、あの、一…

コガネヤマドリ

今日のきのこはコガネヤマドリ[Boletus auripes]。 「青森のきのこ」(だったと思う)によると、最近、食べられることがわかったもの。よく図鑑にあるように、「派手な色のきのこは毒」という「迷信」が流布していたために、これまで食べられてこなかった…

ベニタケの仲間

昔から食べられているきのこに、ハツタケがあります。やまぶき色みたいな色で、漏斗型の傘で、肉質がもろく、傷つけるとその部分が青っぽく変色します。 高浜虚子が、 はつたけを 山浅く狩りて 戻りけり という俳句を作っています。 その通り、ハツタケは、…

トスカナのとある博物館

「文芸」とすべきかどうかわかりませんが、昨2004年11月21日付BBCに、イタリアのトスカナにトリュフ博物館がオープンしたというニュースがありました。 そのニュース映像を、こちらから見ることができます。右側にある、「Italy opens first truf…

カニの季節

巷でカニを食うごとく、わがブログにはカニノツメ(ポオル・ヴェルレエヌ)。 巷では、カニが美味しい季節になっています。 ちょっとちがいますが、カニノツメ[Linderia bicolumnata (Lloyd) Cunn.]は、スッポタケとかキヌガサタケなどと近い仲間。最初ブ…

ツルタケ

ツルタケ[Amanita vaginata]は、割とどこにでもあるきのこです。テングタケ[Amanita]の仲間で、柄の根元に立派なツボがありますが、ツバはありません。柄は少しささくれだった感じで、傘の周囲には、放射状の溝のようなものがあります。 いちおう「食」…

トラバる・・・

って、いったいどうやればよろしいのかしら……と悩める犬、ということにしておこう。 本当は、考えているのか、考えているふりをしているのか、はたまた、彼女は考えているのではないかという考えを人間側が彼女の顔に投射しているだけなのか。 日の光をいっ…

馬の糞茸

茸採りの日記を付けようかなと思い立ち、このブログを始めてみました。今年は、梅雨の不在、夏の激しい暑さと雨不足で、東京周辺の低山は、茸の出具合が、どうも不順でした。 10月に、カラカサタケ、コガネタケそして様々なテングタケの仲間を見かけました…