椿



桜の樹の下には屍体が埋まっている」。梶井基次郎でしたでしょうか。


「椿の樹の下にはツバキキンカクチャワンタケが生えている」。ちょっと、苦しいですね。


というわけで、今日のきのこは、知る人ぞ知る、ツバキキンカクチャワンタケ[Ciborinia camelliae]。





学名の camelliae は「つばき」という意味で、英語でつばきは camellia または camelia。


その名の通り、つばきの木の下に生える、チャワンの直径が1センチほどの小さなきのこで、この季節、落ち葉の掃除されていないつばきの樹下で丁寧にさがすと見つかります。きれいなつばきの植え込みなどで、何となく探してしまうもの。


とはいえ、何となく探すにはとても小さくて、実は地面を這うようににらまなくては見つからないのですが。


図鑑などでは、よく、きれいなつばきの花と一緒に撮された写真が掲載されています。


食べられない、と思います。


『椿姫』はアレクサンドル・デュマ、ただしフィスの方でした。春をひさぐ女性。


ここで一句。


 赤い椿 白い椿と 落ちにけり 碧梧桐


 ツバキキンカク チャワンタケと 生えにけり 辟易党