落葉松
白秋がうたった「落葉松」。
さて、どこにあったろうと探してみて、「おもひで」でもなく、いろいろひっくり返して、ようやくありました。
神西清編『北原白秋詩集』(新潮文庫)から。
もとは『水墨集』。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
からまつの林の奥も、
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり。
からまつとささやきにけり。
からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。
からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。
世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。
若いころはそらで口ずさんでいたのに、もうずいぶん忘れてしまっていました。
さてその落葉松に生えるきのこといえば、ハナイグチ(ラクヨウ・ジコボウ)が有名ですが、ハナビラタケ[Sparassis crispa]もときおり見かけます。
さわやかな、香りがします。写真の個体は、だいぶ古くなっていましたが。2006年8月、北の方の唐松林で採集したもの。
お料理は、炒め物、煮物、うどんに入れる、などなど・・・手抜き料理で楽しめます。