「沈黙を破る」



パレスチナの占領地に派遣されたイスラエル軍元兵士たちの中に、自分たちが何をしたかについて声を上げ始めた人たちがいます。


そうした兵士たちのグループ、「沈黙を破る」。


ジャーナリストの土井敏邦さんが、そのグループの活動とパレスチナの生活を長い時間をかけて追った、映画、「沈黙を破る」を、連れと見てきました。


とても、とても優れた映画です。


人には、見えないものがあります。たぶん、二種類。一つは隠されたもの。もう一つは、私たちが見るために必要な目そのもの。目そのものは自分の目では決して見えません。


社会全体がねじれてしまったとき。外からは当たり前に見えるものが、中にいると決して見えなくなってしまうとき。そんなときは、隠れたものを暴き出して見ようとしても、いつもいつも見逃してしまうもの。たとえて言うと、私たち自身の目のようなもの。


鏡では見えるけれど、それは「本物の目」の写し姿にすぎなくて、本物の目を見ることはどうしても見えなくて。


イスラエルの中でそのように見えなくなっているところを直接感じさせてくれる映画。しばらく前に人文学で、「表象の不可能性」をめぐる議論が巻き起こったことがあります。でも、あらゆる表現活動は、本来、その点をめぐってなされるもの。そして、芸術も表象不可能なものをそれでも触知させるようなものであるはずです。


この映画は、そんな意味で、芸術作品としてとても優れたものになっています。


見終わってから、ここで映し出されている問題が、徹頭徹尾イスラエル社会の問題であると同時に、多くの社会に共通する問題であることに、ふと気づかされます。たとえば、世界の多くの場所に介入して罪のない人々を殺しながら、自分たちは善意であると考え、同時に自分たちこそが犠牲者だと感じているアメリカという社会。植民地主義時代の植民地支配国。そして、日本。


いい映画は色々あるけど、この映画は、本当に必見!


さて、このところまたきのこからご無沙汰ですが、何とオーソドックスにシイタケ。





写真を取った日は、GW半ばで、雨が降る前。「どんこ」状態になっています。